見て・聞いて・感じて くらしに生かす資料館運営を目指して
○はじめに
この度、当資料館ではホ-ムペ-ジを更新いたしました。皆様方には、長い間情報をご提供できなかったことをお詫び申し上げます。今後、機会を設け公開いたしますので宜しくお願いします。
当資料館は、平成19年度に公益財団法人としてスタ-トしました。この間、全国各地より多くの方にご来観頂き、「とても素晴らしかったよ、また来ます」というお褒めの言葉や「展示館の電気が少々暗かったよ」などのご指摘の言葉を頂きました。皆様方には、心より当資料館を気にかけ、かわいがってくださり、誠にありがとうございました。甚だ失礼とは存じますが、紙面をお借りしてお礼申し上げます。
前後いたしましたが、私は、当資料館館長の中島龍磨(なかしま たつま)と申します。平成28年4月から当資料館の館長職を拝命しました。宜しくお願いいたします。
公益財団法人廣瀬資料館館長 中島龍磨
大分県日田市出身 県内小学校校長・
日田市三花公民館長を歴任後 当館長就任
(淡窓の「敬天の心」を講演する中島館長)
4月に着任後すぐの14日、16日に熊本・大分大地震が起こり、当日田地方も震度5強の揺れに遭いました。幸い、当資料館は建物のひび割れや展示物の一部破損でしたが、他地域の被害の大きさを目にするたびに心が痛みました。そんな中、「元気!日田!!観光施設無料開放事業」が開催され、当資料館も7月〜9月の3ケ月間無料入館に協力致しました。3ケ月で、13000人弱の方々に入館して頂き、大変喜んでもらしました。
○廣瀬家と館内展示
当館は、天保4年(1833年)から慶応4年(1868年)の間に建てられた主屋、新座敷、蔵など今から150年前後に建てられた10の建物と庭園からなります。そして、現在、国の史跡指定を受けております。その中で、1号館、2号館、主屋を開放し、廣瀬家家宝や淡窓・久兵衛の足跡を展示しております。また、今年度から本宅庭園と隠宅庭園の公開も始めました。
廣瀬家は、延宝元年(1673年)初代五左衛門が筑前博多から日田の地に移り住み、商売を始めます。4代平八の時代に御用達に命じられ、6代久兵衛の時には掛屋商人になりました。廣瀬家は、代々代官(のちに郡代)の信頼が厚く、第6代の久兵衛の時代には、当時の塩谷代官と「水魚の交わり」と言われるほど関係が深かったようです。このため、掛屋商人として頭角を現すとともに、公共事業も多く手掛けました。廣瀬家が大いに隆盛を極めた時代と云えます。
廣瀬家は、現在第11代の貞雄氏(当資料館理事長)が当主を務めます。そして、廣瀬家が初代から現在に至るまで、地域の方に尊敬・信頼され続けているのは、「心高身低」という家訓を忠実に実行しているからであります。明治初期まで、代々の当主が、商売で利益を上げますが、その多くは「人のため・地域のため」に費やしております。その中身については、当資料館に展示しておりますのでご覧いただければと思います。私たち、資料館職員として、つねにこの「心高身低」の心を大切にし、館の運営に当たることを心がけております。
さて、ここで、館内の展示の見どころについてご案内します。先ず、1号館には、「廣瀬淡窓」「廣瀬久兵衛」の各コ-ナ-と「企画展コ-ナ-①②」があります。企画展コ-ナ-は、まさに時代のニ-ズに応じて興味・関心を引く内容を展示するように心がけております。2号館は、廣瀬家の家宝や当時からの日用品を展示しております。大名からの拝領品はとても素晴らしく、見る人を驚かすことでしょう。また、今年度から公開し始めた庭園(本宅庭園と隠宅庭園)は、色々な工夫がされております。庭園の石段に腰かけて石積や木立を眺めていると、江戸の商家の日常にあなたをいざなってくれます。
○館運営の基本
このような資料館でありますが、私たちは、来館者に「見て・聞いて・感じて くらしに生かす」ことができる運営を基本としています。そのために、次のような目標を掲げています。
(1)見て、感じて頂く展示内容になるように、展示の主題を明確にし、主題に沿った絵図・資料の選択や関連付けを図るよう工夫・努力する。
(2)聞いて、感じて頂く説明になるように、主題に沿った説明(わかり易い、心に落ちる、納得いく、ユ-モアのある)になるよう工夫・努力する。
(3)来館者がくらしに生かせるように、絵図・資料を現代の言葉にわかり易く置き換えて解説することや、現代のくらしにつなげて説明するよう工夫・努力する。
私たち資料館職員一同、廣瀬淡窓・久兵衛はもちろん廣瀬家の事を多くの方に知っていただき、その良さや素晴らしさを感じ、皆様方のくらしに生かせるお手伝いができればと思い、日々頑張ります。皆様方には、今後とも引き続きご指導、ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。
平成28年10月吉日